10周年

床丹にいた。
ちょうど歩きの旅に体が馴染んできた頃か。
このあたりから一日のパターンができてきたところ。
どのザック(いやただのバックだった。どのバック)に何を入れるか、とか。
リヤカーの積載のコツとか。
飯の作業分担、とか。


この日は旧標津線の奥行臼駅構内から床丹まで42000歩をこなしている。
ちなみに初日が60000歩。
2日めが520000歩だ。
今考えるとまったく恐ろしい数字だ。


オホーツク海に面した高台の草原でテント。
夕食時にぼくの使っていた箸が折れた。
何の迷いも無く、ガムテープで補修。
当時はガムテープ信者だった。
あ、今も。
崇拝している。


この頃は稚内がとてつもなく遠く感じた。
ぼくは首を日焼けしすぎて痛がっているし、
忠もバテていて、知床にでもたどり着ければそれでいいか、
なんて思っていた。
ここからしばらく鉄道から離れてしまうのでギブアップするのも手だな、
なんて思っていた。
でも、厚床駅を出てからそのような考えや会話は全く消滅していた。
歩いちまえば解決、というやつだ。