プラド

雪の日。
聞こえるのはふたつ隣の男の寝息と、時計の針。
窓なんか全部曇っちゃってて、
信号がぼんやりと黄赤青を繰り返す。
ランラーンランランララー
デラウェアのタクシーの曲が頭の中をオートリバースするよ。
隣の先輩の濡れたコートがひざにかかってるし。
雪が溶けてぬるくなった水が髪の毛から滴り落ちてきた。
ところでさっきからこの車のタイヤ、3回転位。
歩くほうが速い。
フンフーンフンフンフフー


明度の調整が上手くいかなかった。
深夜の自動販売機の前は。
この寒さじゃあ、ホットのでかい缶を買うしかないじゃないか。
とはいえ先輩にはひどく怒られた記憶がある。
私と同じものを頼むんじゃないと。
とはいえそれを握りしめながら彼女は公衆電話。
いまから雪の中を歩いて駅まで向かいますと。
そんな一方的な言い方ないよ。すぐに分かった。
留守電なんだよなそれは。